刺し子の活用方法について考える
刺し子ふきんばかりを作っていると、
もっと何か違うものを作りたいと思うようになりました。
わたしは実用的なものがたまらなく好きです。
無意味で怠惰なものを好む一方で、
役に立つように頭をひねるのも好きです。
考えるだけで完結していることがほとんどですが。
刺し子の活用方法についていろいろ考えていたある日、ふと使っていた手帳を見て、
「そうだ、手帳カバーを作ろう!」
と決めました。
そして大好きな十字花刺しを布に刺して、手帳カバーとして毎日愛でようではないかと。
失敗したときのリスク回避のために、まずは刺し子ふきんで練習しようと思いました。
まずは晒を裁ってから、フリクションカラーズで1㎝方眼を書いて準備です。
晒は和泉和晒を使用しました。
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十字花刺し
20枚目の刺し子ふきん、十字花刺し。
⇩やっぱり裏地も好き。
晒に1㎝方眼を書いて十字花刺しを刺してみて、
図案付きの晒のありがたみが本当に良くわかりました。
図案が書いてあることで、ほぼ刺し子の5割は完成していると言っても過言ではないくらい。
1㎝方眼が書いてあっても途中ズレていって、
ヘンテコな十字花刺しになっている箇所がたくさん…。
これは前段階としてふきんで練習しておいて正解だったなと思いました。
刺し子ふきんでの練習を経てから、リネンに1㎝方眼を書いて十字花刺しを刺しました。
リネンに十字花刺し
刺し始めて、「しまった、裏に接着芯を貼れば良かった」と気づきます。
ある程度厚みのあるリネンでしたが、それでも1枚ものの布は刺しにくいのです。
そしてフリクションカラーズで方眼を書いているのもあって、
アイロンで接着芯を貼ることは断念しました…。
アイロンの熱でフリクションカラーズの線が消えてしまうからです。
次は先に接着芯を貼ってから方眼書きをするようにします。
ペラペラの布に刺す作業、初めの方は扱いに難儀してイヤになりそうでした。
でもさすが刺し子、だんだんと布に強度が出てくるので扱いやすくなっていったのです。
昔の人たちが布に強度をもたせて大切に使うために刺し子していた意味が、
実感としてわかりました。
もともと伝統的に、刺し子は寒い地方で盛んにされていたようですが、
これだけ布に緻密に糸を通していけば、強度も保温性も高まるのだろうと、これまた実感できました。
衣食住について考えたこと
衣食住の3つの中で、衣が一番初めにくるけど、現代人のわたしには正直あまりピンときません。
でも、きっと昔は布や糸自体がもの凄く貴重なものであり、
かつ皮膚の保温をしないと生死に直結していたのではないかと想像できます。
特に寒い地方では。
だから食べ物や住まいよりも、生命維持のためには衣服が一番に大切なのだと昔の人は説いてきたのだろうなと、
刺し子を体験しながら実感しました。
プチプラファッションをワンシーズン毎に使い捨てのように着ている現代人には、
なかなか衣食住の順番は理解できないと思います。
刺し子をしているといろんなことに思いを馳せて体験しながら学ぶことができます。
そんなこと前から知っていたという人もいるかとは思いますが、生活のなかで経験しないとわからないものです。
先人たちの素晴らしい知恵を、
今ではこんなに楽しく生活に活かさせてもらえることに感謝して刺し子したいです。