卒業式の袴姿
3月も半ばとなり、そろそろ卒業式の季節。
卒業式といえば袴を着る学生さんも多いですが、矢羽根柄の着物が袴にはとても合うと思います。
矢羽根柄の袴姿といえば、『ハイカラさんが通る』の大正浪漫の世界。
明治大正時代の女学生の多くが矢羽根柄の着物と合わせた袴姿で通学していたようです。
この矢羽根柄の袴姿、とても可愛いなぁと今になって思います。
自分の学生のときの卒業式は、せっかく親からレンタル衣装代を貰ったのに、袴を見に行ってやめてしまい、ワンピースを買って卒業式に出たのでした。
たった一度しか着ないものに高価な料金を出すことがもったいないと思い、ワンピースだとこれから結婚式などで着れるだろうからと実用性を選んでしまったわたし。
なによりもその当時は、着物の柄を見て可愛いとか綺麗だなと思えない感性だった気がします。和物が古くさくて、すごく嫌だと思っていたような。
自分のなかの美的センス(そんなもの本当はないのだけど)がゆるさないとか。
不思議なことに今となっては、日本の伝統の刺し子に見事にはまっているので、人の感性や気持ちの変化はどんな風にでも変わっていくのだと思います。
歳を重ねて得たものとして、
「今はそうでも、きっといつかは変わっていけるよ。」と何に対しても前向きなエールを送る気持ちになりました。
自分らしく社会に貢献していければいいのだと思います。どんな形であれ、その人らしくいることが大事。
伝統模様の矢羽根
袴の着物の柄に使われるのもあって、矢羽根は伝統模様の一つです。
弓矢の上についている羽のことを矢羽根といい、昔から男子のお祝い事に弓矢は使われていたそう。
縁起のよい伝統模様です。
23枚目の刺し子ふきんは矢羽根。
ホビーラホビーレさんの図案付き晒と刺し子糸を使用。
ちょうど、ひな祭りの頃だったので菱餅の色の組み合わせのイメージで刺しました。
ピンクどグリーンと晒の白で菱餅。
上の写真は両端を引っ張って形をかなり矯正したものですが、放っておくと自然に平行四辺形に戻ります…。
↑こんな風に平行四辺形になります。
図案の矢羽根柄が細かいために、布に引く力が余計に強く働くのか、出来上がると平行四辺形でした。
裏地はこんな感じ。
裏地を見ると布が引きつれているのがわかります。
裏に糸を通している箇所が、表から見ると白いのですが浮いて見えるので、しごきが足りないのだと思います。
見ての通りの失敗作なのですが、こんな風になるという意味を込めて載せました。
刺し子の伝統模様は、昔の人々の願いが込められていて、縁起がいいものばかりです。
だからこそ刺し子していて、無心になりつつ気持ちも癒されるのかなと思います。
出来上がりがいびつであっても、どんなものでもいいよと言ってくれるような気がする刺し子を生活に取り入れて楽しみたいです。